あれからゴミムシは一度も姿を

見せていない。

 

よほど懲(こ)りたのかな~、なんて考えていると、このあいだの夜、パタパタと結構(けっこう)派手(はで)な羽音(はおと)をさせて、一匹の虫が入ってきてわたしの目の前の壁(かべ)にとまった。

   

 

最初はカゲロウかな、と思って

短い命の間(あいだ)にわざわざ来てくれてご苦労サン、なんて思ったのだけれど、よく見ると、頑丈(がんじょう)というか、ちょっとふてぶてしい感じで、カゲロウとは違うようだ。

 

幸’(さいわ)いに?わたしの目の前の壁にとまったままじっとしているので、その姿をたよりにパソコンで何(なん)の虫かを調べてみると、

えー?

これが、日本最強級(にほんさいきょうきゅう)昆虫(こんちゅう)ともいわれるシオヤアブ(塩屋虻)!?

 

体調は3cmほどとそう大きくはないが、

いったん獲物(えもの)の後(うし)ろをとると、背中(せなか)を大きな口で刺(さ)して相手(あいて)を麻痺(まひ)させ、体液(たいえき)を吸(す)ってしまうというオソロシイ虻(あぶ)なのだ。

背中に回られると、スズメバチや大カマキリはおろか、オニヤンマまでやられることがあるということで、暗殺昆虫(あんさつこんちゅう)という異名(いみょう)さえあるとか。

 

それにしても、よくこんなものが家の中に入ってくるものだ。

いちおう東京だよ、ここ。

 

動物や人間の血(ち)を吸(す)うタイプではないので、めったに人間を刺すことはない、らしいけど、

いったん刺されれば、痛(いた)いし腫(は)れるし、痒(かゆ)みも長引(ながび)くのだとか。

 

あまり歓迎(かんげい)できる虫ではない。

 

ちょうど散歩ついでに買い物に出ようと思っていたところなので、蚊取(かと)り線香(せんこう)を焚(た)いて入口(いりぐち)を少し開(あ)けて出かけた。

それで出て行ってくれ、ということで。(^^;)

 

盗(ぬす)まれて大変なものなんて何もないもんね。

 

1時間半ほど歩いて買い物も済(す)ませ、さて帰(かえ)ろうかな、と思った時、ふといやな予感(よかん)が。

 

案(あん)の定(じょう)、まだいた。

 

こんどは天井(てんじょう)にとまっている。

    

      (アブの後ろにあるのは火災警報器(かさいけいほうき))

 

どうも出て行く気はないらしい。

 

出て行くとき、居間(いま)との間(あいだ)の襖(ふすま)を開(あ)けていて、居間とベランダの間の戸も開けたままにしておいたので、蚊取り線香の煙が薄(うす)まってしまったようだ。

 

蚊取り線香を燻(くす)べても居(い)たいくらい好意(こうい)???をもってくれるのはありがたいけど?、人間も刺すことのできる「武器」の所有者(虫)が家の中にいるというのはあまり気持ちのいいものではない、のでね、

出て行ってもらうことにした。

 

アブがいるDK(ダイニングキッチン)と居間の間の襖を閉めて、出口を一か所だけにして蚊取り線香をダブル(W)で焚いた。

 

DKを煙(けむり)濛々(もうもう)にして、わたしは居間でパソコンを見ていたのだけれど、やがて、襖の裏から、ぶるんぶるん?という激(はげ)しい羽音(はおと)。

どうも、こちらに来れないか、襖の裏を飛び回っている様子(ようす)。(こわ~)

 

羽音がしなくなってしばらくして襖を開けると、アブはいなくなっていた。

燻(いぶ)し出(だ)し成功 v(^^)v

 

他の虫より追い出し方法がイヤミなのは、人を刺す可能性(かのうせい)があるから。

どのようなものにしろ、自分を攻撃(こうげき)することのできる「武器(ぶき)」を持っているものに対しては、そうでないものより好感度(こうかんど)は下がる。

 

とくに蚊やアブやハエといったハエ目(もく)の昆虫は人間と相性(あいしょう)が悪いというか、歓迎(かんげい)できない訪問者(ほうもんしゃ)だ。

 

悪いけど今度来たらシュッシュッだよ。

ということで、殺虫剤(さっちゅうざい)を買って玄関(げんかん)に置いた。

(たぶんもう来ない。)

 

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他の昆虫を食べるということで、シオヤアブを益虫(えきちゅう)とする向きもあるらしい。

とくにコガネムシやカナブンなどの甲虫(こうちゅう)が好物(こうぶつ)だということなので、

・・・あれ?

甲虫の一種(いっしゅ)だったあのゴミムシ君、食べられてしまったんじゃないだろうか?

 

snsで拾(ひろ)った甲虫を食べるシオヤアブ。

           

 

ちょっと、「あーあ」という気がした。

 

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ノラ猫を見かけることもなくなった東京のこの地域(ちいき)でも生き物たちは旺盛(おうせい)に生きているのだなあ、と思う。

 

それに対して、異常(いじょうな)なほどのマスク着用率(ちゃくようりつ)を誇(ほこ)り、消毒(しょうどく)も徹底(てってい)しながら、いま世界で最もコロ〇感染者(かんせんしゃ)が多くなっているという、日本人の生命力(せいめいりょく)の衰(おとろ)え?

が気にかかる。(笑)