“六月を 綺麗(きれい)な風の

吹くことよ"

 

この正岡子規の句を最初に持ってきた日記を書いたのは一昨年の六月だった。

 

この時、わたしは頚椎症(けいついしょう)を発症して苦しんでいた。

 

そして、今年の六月、

じつはちょっとした手術で10日間入院した。

           (頚椎症の手術ではない。)

 

退院して4日目の朝、

やっと気分が良くなったので、この日記を書いている。

 

どうも六月はわたしにとって病気の要注意月であるようだ。

 

病院ではよくしてもらって順調な入院生活だったのだが、入院の数日前に襲ってきて急激に悪化していた腰と右足付け根から膝にかけての痛みには苦しめられた。

入院当日は歩くことさえツラくなっていて、杖をつきながら、ポチポチと時間をかけて病院に行く始末。

入院翌日の朝が手術で、出血がやや多かったため、手術後は次の日の朝までICUに入っていたのだが、そこでも最大の苦しみは腰の痛みだった。

麻酔がきれた後の切除患部の痛みは覚悟していたのだが、腰の痛みで、そんなもの?はどこかに行ってしまっていた。

絶対安静で身動きのとれないICUではとりわけ苦しく、看護師さんから何を尋ねられても、「腰が・・・・、腰が・・・・、」と言うばかり。

これにはお医者さんも看護師さんも困惑したことだろう。(手術とは全然関係ないんだけど・・・・。)

痛み止めを処方していただいたようなのだが、最初の痛み止めは短時間で効力が切れて、またウンウン唸っていた。

ずっと、「早く時間が過ぎないかな」と思っていて、

「もうそろそろ朝かな?」と、看護師さんに「いま、何時ですか?」と聞いて、「0時半です。」と答えが返ってきた時にはさすがに絶望した。

その後、より強い痛み止めをやっていただいたのか、目が覚めると朝で、頭もとには麻酔科の先生がいて、いろいろ質問されていたようなのだが、わたしは意識が朦朧(もうろう)としていて、何と答えたか覚えていない。

 

しかし、この手術後の一夜をピークとして、腰の痛みは軽くなっていった。

右足も太ももの右半分が痺(しび)れた代わりに?それほど痛みに悩まされることなく動かせるようになった。

(この腰と右足の痛みは、手術に便乗(びんじょう)してわたしを苦しめにきたとしか思えん(怒)・・・・・(笑))

 

退院の日、曇り空の下を杖をつきながらぼちぼち帰るわたしが感じたのは、まさに“六月の綺麗(きれい)な風"だった。

ふつうなら、“心地(ここち)よい風"というところ、

体力の落ちた体には“綺麗(きれい)な風“という表現のほうがしっくりくる。

 

途中、前回5月27日の日記に載せた、空き地にぽつんとひとつ咲く立葵(たちあおい)の花がまだ咲いていたのには励まされた。

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帰宅してからは、youtubeで作業用のクラシックbgmを聞きながらうとうとするのが至福の時となっている。

 

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 バッハのカンタータ、“羊は安らかに草を食み“のこのアリア(詠唱) が、とりわけ沁(し)みた。